「障害児育児は母親だけのもの?」
障害児を持った家庭ではそれ以外の家庭と比較するとどうしても踏ん張らなければならない場面が幾度となく訪れてきます。
その踏ん張る場面において、正面から立ち向かっていくほとんどが母親で、残念なことに父親の大多数は母親の苦悩に気づいていないことが多いです。
実は、父親の積極的な関わりは、子どもの成長と母親の負担軽減に大きく貢献することが分かっています。
障害児育児において父親の理解と協力は絶対的に必要です。
この記事では、障害児育児における父親の役割と、具体的な関わり方について解説します。
結論から言うと、父親は「支え役」「情報収集役」「社会との繋ぎ役」として、母親と協力しながら育児に参加することが大切です。
この記事5秒ハイライト
💡父親に依頼したいことがわかる
💡父親の明確な役割がわかる
💡父親が子どもに与える影響がわかる
なぜ父親の協力が必要なのか
父親の協力があることで大変な時期の母親の苦悩に気づいて、母親と子どもを受容し、感情の波を穏やかに過ごせるようにサポートをすることができます。
さらに現実を正面からどっしりと受け止める態度を取ることができたら母親の精神的なストレスは緩和され、良好な家庭環境を作ることができます。
父親も職場では役割を背負う年齢になっていき、時間通りに出勤帰宅が難しくなってきているのも事実あります。
父親自身が大変だからと「ママよろしく!」という態度をとってしまい、ママが療育に育児・家事と忙しく動き回っていても無関心を装うことが多いわけです。
とはいえ父親としても一切子どものことに興味がないわけではなく、心の中では何かをしたい気持ちはあります。
ただ、どのように関わればいいのかわからない不器用なだけなんです。
こんな時に専門家から指導やアドバイスを受けている母親が父親に対して子どもとの関わり方のモデリングをして家族みんなで過ごすという機会を設定していくと父親の不安は緩和されていきます。
ぎこちない父親の動きを「下手くそ」「なんでできないの?」「もっと〇〇して」という言葉を父親に浴びせてはいけません。
誰でも最初はうまくできないので正直微妙だなと感じたとしても大袈裟なくらい「パパ上手だね」「めっちゃ笑ってるね」のように褒めることで障害児育児参加がスムーズになっていきます。
参加の機会が増えれば子どもの特性理解も深まるし、母親の大変さを身をもって痛感できるでしょう。
そして最後は母親が安心して前向きに子どもと向き合えるように経済的・心理的に整えることが父親としての最大の役割です。
父親の役割
父親の役割はこの3つになります。
- 母親の支え役
- 情報収集役
- 社会との繋ぎ役
1.母親の心の支えとなり、負担を軽減する
母親は、障害児の療育や日常生活の世話に多くの時間を費やすため、精神的・身体的に大きな負担を抱えやすいです。
父親は、家事や育児を積極的に分担することで、母親の負担を軽減し、心の支えとなることができます。
具体的には、以下のようなことができます。
- 家事の分担:掃除、洗濯、料理など
- 育児の分担:入浴、着替え、遊び相手など
- 母親の休息時間確保:家事や育児を担い、母親がゆっくり過ごせる時間を確保する
そんなもん知ってるよと言われるような内容ですが、結構重要です。
子どもの年齢が小さい時にどれだけ夫婦で協力できたかでその後の夫婦関係の良し悪しに影響が出るというデータがあります。
さらに母親の育児負担は、父親の育児参加によって軽減されることが研究で示されています。
富山大学の研究によると、父親の育児参加時間が長いほど、母親の心理的苦痛が提言する可能性があることが分かりました。
父親が家事や育児を積極的に分担することで、母親は休息やリフレッシュの時間を得ることができ、心身ともに健康を維持することができます。
2.情報収集で不安を解消し、適切な療育・支援につなげる
障害児の療育や支援制度に関する情報は、複雑で分かりにくい場合があります。
父親は、積極的に情報収集を行い、母親と共有することで、適切な療育や支援を受けることができます。
障害児育児に対してできることで貢献するという視点は必要ですね。
仕事をしていて、難しい文章などを読みなれている父親が情報の理解を深めることでとても頼りになるシーンがでてくるのではないでしょうか。
具体的には、以下のようなことができます。
- インターネットや書籍で情報収集する
- 療育機関や支援団体の相談会に参加する
- 他の障害児を持つ親御さんと交流する
私もそのうちの一人ですが、X(旧Twitter)でも障害児の父親のアカウントをよく見ます。自らが積極的に情報収集をしている人は子どものことを考えているような印象を持ちます!
この機会に私のX(@sukeryoiku)をフォローしましょう!
夫婦感における情報共有の重要性
父親が収集した情報を母親と共有することで、共通認識を持ち、協力して育児に取り組むことができます。
支援をしていくのに孤立させないことはとても重要です。
現状、育児をしている母親の約80%が孤立を感じています。
父親が積極的に情報収集をして、その情報を母親に共有をすることが孤独を感じずに一緒に立ち向かっていけている感覚を得られるでしょう。
3.社会との繋ぎ役として、子どもの社会性を育む
障害児は、地域社会との関わりが少ない場合があります。
父親は、積極的に地域社会と繋がることで、子どもの社会性を育むことができます。
具体的には、以下のようなことができます。
- 地域のイベントに参加する
- 他の子供たちと遊べる場所を探す
- 障害児を持つ親御さんの交流会に参加する
早期療育について、「本当に効果があるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。子どもの成長が目的でもありますが、保護者同士のコミュニティを作ることも目的の一つとしています。
児童発達支援ガイドラインより抜粋
家族支援 障害のある子どもを育てる家族に対して、障害の特性に配慮し、子ど もの「育ち」や「暮らし」を安定させることを基本に、丁寧な「家族支 援」を行うことが必要である。 特に、保護者が子どもの発達を心配する気持ちを出発点とし、障害が あっても子どもの育ちを支えていける気持ちが持てるようになるまでの 過程においては、関係者が十分な配慮を行い、日々子どもを育てている 保護者の思いを尊重し、保護者に寄り添いながら、子どもの発達支援に 沿った支援が必要である。
※児童発達支援ガイドラインに飛びます
障害児育児は通常の育児と比較するとしんどさを感じる局面が幾度となく訪れます。
しんどさを感じているときに社会と孤立してしまうことはリスクとされています。子どもとその家族が社会から孤立しないように早期から社会とつながっておくことをオススメします。
そこで父親が情報収集した内容をもとに事業所を選択して社会から孤立しないようにサポートをしていきましょう。
事業所の選び方はこちらの記事を参照ください。
放デイの選び方で解説をしていますが、児童発達支援でも同様の考え方をすることができます!
具体的な関わり方:親子関係を築き、成長を促す
子どもと積極的にコミュニケーションを取る
障害の有無に関わらず、子どもにとって父親は重要な存在です。
父親として子どもと積極的にコミュニケーションを取ることで、親子関係を築き、子どもの成長を促すことができます。
具体的には、以下のようなことができます。
- 話を聴く:子ども目線で話を聞き、共感し、気持ちを尊重する
- 一緒に遊ぶ:絵本を読んだり、おもちゃで遊んだり
- スキンシップを取る:抱きしめたり、頭を撫でたりして愛情を表現する
父親も育児を楽しむ
障害児育児は大変なことも多いですが、同時に多くの喜びや感動を与えてくれます。父親自身が育児を楽しむことで、子どもとの関わりもより充実したものになり、父親自身の成長にもつながります。
育児を楽しむために最初はお出かけですね!
神奈川県バージョンではありますが、記事の後半部分で障害児がお得に楽しめるスポットを紹介しております。
母親と協力し、二人三脚で育児に取り組む
障害児育児は、夫婦二人三脚で取り組むことが大切です。父親は、家事・育児を分担し、母親と協力することで、母親の負担を軽減し、育児をよりスムーズに進めることができます。
また、母親の気持ちに理解を示し、尊重することで、母親との信頼関係を築き、育児に対するモチベーションを高めることができます。
さらに、定期的に話し合い、育児方針を共有することで、共通認識を持ち、一致団結して育児に取り組むことができます。
父親が今日からできること
- 家事・育児を分担し、互いに支え合う
- 母親の気持ちに理解を示し、尊重・共感する
- 定期的に話し合い、育児方針を共有する
- 母親の休息時間を確保する
父親の仕事は一言でいうと【母親の休息時間の確保】に尽きます!
データで見る父親の役割の重要性
父親の育児参加が子どもの発達に与える影響
【父親の育児参加と幼児期子どもの社会性の発達に関する研究】によると、父親が積極的に育児に参加する家庭の子どもは、言語能力や社会性の発達が良好である傾向があることが分かっています。
また、父親との関わりが深い子どもは、自己肯定感が高く、情緒的に安定している傾向もあります。さらに、父親との遊びを通して、創造性や問題解決能力が育まれることも示されています。
父親の育児参加率の現状と課題
近年、父親の育児参加率は向上しているものの、依然として母親との差は大きいという現状があります。父親の育児参加を阻む要因として、仕事や家事の負担、社会的な理解不足などが挙げられます。父親が育児に参加しやすい環境づくりが求められています。
それぞれ家庭の状況が異なるので良いとか悪いとかはありませんが、コロナ禍以降父親の在宅ワークが増えた影響で家事育児に関心を持って取り組むようになっている印象です。
父親の家事育児参加の風潮が来ていますので、皆さん波に乗り遅れないように頑張りましょう💪🔥
父親向けの育児支援
父親向けの育児講座やワークショップが各地で開催されています。また、父親同士の交流会や相談会など、情報交換や悩み相談の場も設けられています。さらに、企業や自治体による育児休暇制度や育児支援制度の充実も進んでいます。
まとめ:父親の積極的な関わりが未来を変える
結論として、父親は障害児育児において重要な役割を担っています。
父親の積極的な関わりは、障害児育児における母親の負担軽減と子どもの成長に不可欠です。
支え役、情報収集役、社会との繋ぎ役として、母親と協力しながら育児に参加することで、子どもの成長と母親の負担軽減に貢献することができます。
障害児育児は、決して簡単ではありません。
しかし、父親が積極的に関わることで、より楽しく、充実した子育てを送ることができるのです。
社会全体で父親の育児参加を推進し、障害児を持つ家族がより充実した生活を送れる環境を整備することが重要です。
父親自身が積極的に育児に取り組み、子どもの成長を喜び、家族の幸せを築いていきましょう...!