新生活に向けてトイレトレーニングをスタートさせたいと思う保護者の皆さま。
いつもお疲れ様です。
幼稚園に入園をするときに「オムツが外れているか」という項目があるところは少なくありません。
家からも近く、園の教育方針にも共感ができるが、
いかんせんオムツが外れていない。。。
オムツが外れていないということで希望通りの園生活を送れないこともあります。
さらに発達障害を持つ子どもたちは、日常生活の中で様々な困難に直面していて、様々な困難の中でもトイレトレーニングは、特に難しいタスクの一つとも言えます。
本記事では、発達障害児のトイレトレーニングについて考察してみたいと思います。
この記事5秒ハイライト
発達障害児のトイレトレーニングの課題
発達障害を持つ子どもたちは、社会的なコミュニケーションやセルフコントロールの困難さがあります。そのため、一般的な子どもたちのトイレトレーニングよりも多くの時間と忍耐と覚悟が必要と覚えておいてください。
今やっている活動からの切り替えが難しかったり、感覚過敏の問題も抱えていることもあります。
一人ひとりの課題を理解し、個別に対応することが重要です。
発達障害児におけるトイレトレーニングの難しさは、以下のような背景要因が複雑に絡み合って生じると考えられています。
①感覚過敏・鈍麻
✅尿意や便意を感じにくい、または過敏で我慢するのが難しい
✅便座の冷たさや感触、衣服の擦れなど、トイレ環境への過敏さ
✅水の音や排泄音への過敏さ
✅トイレットペーパーの感触への過敏さ
感覚特性についてはこちらの記事でも少しだけ触れています。
②こだわり
✅特定の場所でしか排泄できない
✅特定のタイミングでないと排泄できない
✅一定のルーティンがないと排泄できない
③コミュニケーションの難しさ
✅尿意や便意をうまく伝えられない
✅指示を理解するのが難しい
✅トイレトレーニングの目的を理解するのが難しい
④運動機能の難しさ
✅ズボンを脱いだり履いたりする動作が難しい
✅便座に座る姿勢を維持するのが難しい
✅排泄に必要な筋力が弱い
⑤注意欠陥・多動性障害(ADHD)
✅トイレに行くことを忘れる
✅衝動的に行動し、トイレに行く前に漏らしてしまう
⑥自閉スペクトラム障害(ASD)
✅排泄という行為への興味や関心が薄い
✅変化を嫌うため、トイレトレーニングに抵抗を示す
✅他人の真似をするのが苦手
これらの背景要因に加えてトイレが汚い、臭い、子どもが嫌がる環境になっていること。また保護者がトイトレに焦りを感じて子どもに過度なプレッシャーを与えているなどの環境要因や家庭環境などもトイレトレーニングの難しさに影響を与える可能性があります。
トイトレを始める6つの条件
トイトレの難しさの背景を理解したら、どのタイミングで始めたらいいのか見極めが重要です。
トイトレをスタートさせるタイミングを見誤ると失敗する確率が高まってしまいますのでこれらの条件に当てはまっているかどうかを確認していきましょう。
トイトレをスタートさせるには6つの条件があります。
- 2歳半~3歳くらい
- 膀胱の容量がたっぷり
- 一人歩きができ、走りだせる
- 一人でどっしり座れる
- 意思表現ができる
- 保護者の心にゆとりがある
①2歳半~3歳くらい
1歳~2歳くらいまではおしっこを膀胱に溜められず反射的に出してしまいますが、2歳半~3歳くらいになると膀胱に溜められるようになります。
この年齢で区切っているのはここで紹介した条件が概ね達成できている発達段階にあるからです。
一つ一つの段階が見極めることができるのであればこちらの年齢は一切関係ありません。判断する一つの基準くらいの気持ちで問題ありません。
②膀胱の容量がたっぷり
①の項目とも関連していますが、おしっこの間隔が2時間程度開くようになったタイミングが望ましいと言われています。
③一人歩きができ、走りだせる
一人歩きができ、走りだせるということは脳が発達している証拠にもなります。
この頃になると膀胱におしっこが溜められるサインにもなります。
運動の機能としても発達しているサインになりますのでこども自身がやりたいことを行動に移せる段階とも捉えることができます。
一人で歩きだすのが早いと1歳前後かと思いますが、「走りだせる」ということの方が重要で、走りだせるためには足腰の成長が欠かせません。
④一人でどっしり座れる
なぜ一人でどっしり座ることが大切なのかと言うと、
おまるや補助便座は不安定です。ですので不安定な中でも自分の体幹を使ってどっしり座れることが重要になってきます。
この表でいうと「三輪車をこげる=どっしり座れている」に該当します。
万が一トイレに座っているときに落っこちたら恐怖体験になってしまい二度とトイレに行きたくなくなります。
ちなみに息子がトイトレの練習をしていた時に私の実家のトイレに入ったところ普段とトイレの空間が異なることから私がうまく支えられずに息子が落ちかける経験をしてしまいました。
それ以降しばらく実家のトイレに行くことを拒否する時期があったので大変な思いをしました😅
⑤意思表現ができる
「アイス食べたい」「公園行きたい」というような自分のやりたいことを2語文で意思表現できる力はとても重要です。
トイトレは子どもとのコミュニケーションといっても過言ではありません。
子どもが自分の意思を伝えられるようになることはオムツ外しには欠かせません。
2語文が話せてコミュニケーションがとれるかというのは判断基準の一つになります。
とはいえ、コミュニケーション=言葉である必要はありません。
絵カードでもジェスチャーでも大丈夫です。
何よりも自分自身の意思を表現できるかどうかということを重要視してください。
⑥保護者の心にゆとりがある
疲れたら無理せずに期間を空けましょう。
じっくり向き合う時間的・精神的な余裕が必要です。
子どもとの関係性が安定している必要もあります。
イヤイヤ期にトイトレをやったら悲惨なことになります。
保護者の心に余裕を作るためにパパとママで必ず協力して実践しましょう^^
これらの6つの条件がそろっているときに次の章で紹介する具体的なトレーニングの方法を実践していきます。
発達障害児のトイレトレーニングの支援方法
発達障害児のトイレトレーニングを支援するには、いくつかの方法があります。
結論から言うと
トイレでおしっこができた時に子どもにとってメリットとなる事象を起こす
です。
偶発的な出来事を待っていてもトイトレは始まらないので、大人側がたくさんの仕掛けを施す必要があります。
仕掛けとはトイレに行く(おしっこをする)前後の工夫が重要です。この2つについて紹介していきます。
トイレに行くことを連想させる工夫
大前提として、こどもがトイレの使用方法やトイレトレーニングのルールを理解できるように、簡潔で具体的な指示を与えることが重要です。
また、トイレトレーニングのスケジュールを作成し、こどもたちが予測可能なルーティンを作ることも有効です。
このような絵カードで見通しを伝えたり、お風呂の前はトイレに行くといった
子どもにとってわかりやすいタイミングでトイレに行くことを伝えるとルーティンが構成されていきます。
好きな活動をしている最中に突然「トイレ行くよ」と言われて切り替えられる方が珍しいと思うので(;^ω^)
また声をかけるときは言って聞かせるというよりも、見せて示す、声を届けるという意識をして関わることでかなり変化が起こります。
トイレに行きたいと思う工夫
大前提として子どもにとってトイレの中が心地よいと感じる必要があります。
壁紙に子どもが好きなキャラクターのシールを貼る
好きなキャラクターのトイレットペーパーを使うとかでもいいです。
トイレットペーパーホルダーとかでもなんでもいいです。
好きなもので埋め尽くして楽しくするもはやエンターテインメントに近い感覚です。
一般的な子どもの場合はトイレを好きなもので埋め尽くしたら何とかなります。
ただ、私たちが戦う相手は屈強な特性のある子どもたちです。
特別支援の観点でいうと子どもにとって苦手な感覚をできるだけ排除することが大事です。
例えば・・・
✅感覚過敏の場合は無香料の消臭剤を使う
✅お尻が冷たいとか熱いと感じない適切な温度で設定がされているなど
✅音が気になって集中できないならドアを閉める
✅閉鎖的な空間を嫌がるのであればドアを開ける
など。感覚特性に配慮した工夫をすることでトイレに対する嫌な思いを少しでも減らすことができるかもしれません。
トイレでできた後の工夫
トイレに行きたいと思う工夫ができたら、次はトイレでできた後の工夫を考えていきます。
基本的には”褒める”です。
普段はめんどくさくてやらない揚げ物料理にチャレンジしたときに旦那さんから「今日の唐揚げサクサクでめちゃくちゃおいしいね!」と言われたら次もまた唐揚げ作ろうかなってなりますよね。
油を使うのってママからしたら異常にめんどくさいと思うんです。
我が家では、男ども(パパと息子)が唐揚げをおいしいおいしいと言いながらバクバク食べまくるもんでママがおいしい唐揚げをたくさん作ってくれるようになりました!笑
子どもも同じで褒められたら「次もやってみよう」という気持ちになります。
その仕組みを利用して「トイレでできた」ときにたくさん褒めるんです。
「なんだそんなことか」
「いつもやってるよ」
「うちの子は褒めるに効果がないから困っている」
と思うかもしれません。
ただ、その”褒める”は子どもに届いていますか?
褒めるのは言葉に限らず本人が嬉しいと思える結果であれば言葉以外でも同様の効果が発揮されます。
✅拍手する
✅高い高いする
✅ハグする
✅好きなものを手に入れる
このような事をすると本人にとって嬉しいと思える結果につながるので一般的な褒めると同様の効果を得ることができます。
こんなシートを使って頑張った回数分シールやスタンプを貼ることで視覚的にも褒めを体感できます。
「10コ貯まったらお菓子買おうね」なんて約束をしてみるのもいいかもしれません^^
トイレでできるようになるまでのステップを考える
発達障害児のトイトレが難しい背景も理解したし、トイトレをスタートさせる条件も満たしている。
さらにトイトレを進めるための支援方法もわかった。
とはいえ、いきなり「トイレで用を足す」という行動を目指しても難しいと思うので、スモールステップを立ててトイレトレーニングを実施していきます。
例えばこのような段階を経て練習をしていきます。
- 声をかけられたときに手元の活動を止める
- 決まった時間にトイレに行く
- 便座に座る
最初は①だけできていたら褒める。安定してきたら①②ができたら褒める。さらに安定してきたら①②③までできたら褒める。
をひたすら繰り返していきます。
子どもの言語能力にもよりますが、もっと細分化していくと毎回トイレに行かずとも
「おしっこは平気?」のように声をかけられて応答するというステップが入ってもいいかもしれません。
ちなみに息子の場合(3歳当時)はしゃべれないので「トイレは?」と声をかけてもリアクションはありませんでした。
なのでトイレ行くことの見通しを立てて今やってる遊びを中断できたらまずそこで拍手喝采してトイレに連れていくを何度も繰り返していました。
トイレの1時間~2時間置きに定時促しをして、出なくても【トイレ=座る場所】を繰り返していました。
すると最初は本当にたまたまだと思いますが、トイレでおしっこをすることができたんです。そこをすかさず大拍手で超盛り上げました。
するとトイレに座ることとおしっこを出すと褒められる場所という認識につながっていきます。
今ではトイレで便座に座ると直前にオムツにおしっこを出していたとしても絞り出すようになっています。笑
パパとママで共通認識を持ってトイトレの関わり方ができるとよりスムーズに進んでいきます。
発達障害児のトイレトレーニングは、個々のニーズに合わせたサポートが必要な難しい課題です。
しかし、適切な方法やサポートを提供することで、子供たちは成功体験を積み重ねることができます。
保護者は子どもたちの個別の課題や進歩を理解して関わっていきましょう💡