通っている幼稚園や保育園・児童発達支援事業所などから「ちょっと社会性が不足していますね」「もう少し社会性の発達を待ちましょう」のように言われたことありませんか?
言語や身体の発達は何となくイメージができるが、一体社会性の発達とはなんだ?
そう思った方々はGoogleさんで【こども 社会性 発達】と検索をしてこのページに到着しているのかもしれませんね🔍
「相手の目を見て話せない」
「負けを受け入れらずにすぐに泣く」
「集団行動が苦手」
「気持ちの切り替えが難しい」
「周りの意見に合わせられない」
「相手の気持ちや考えを理解できない」
など。
我が子の社会性に関する悩みは尽きないものです。
トラブルが起きた時に都度対応しているが、また新たな壁にぶつかります。
これではモグラ叩きのような状況になってしまいます。
「負けた時に癇癪を起こすので負けの耐性をつける練習をしてください」
「周りの意見に合わせられないから話を最後まで聞く練習をしてほしい」
こどもにとって難しい課題と向き合うことは一般的には”良いこと”とされています。
しかし、こどもの社会性の発達段階について理解を深めることで今このタイミングでこどもにこのスキルを求めることなのかどうかということを改めて考える機会になったら幸いです。
この記事5秒ハイライト
💡子どもの社会性は、幼児期から丁寧に育む必要がある
💡家庭、学校、地域が連携して、子どもたちの社会性を育む環境を作る
💡子どもたちの個性や成長段階に合わせたサポートが重要
💡社会性を育む具体的な方法を紹介
そもそも社会性とは?!
社会性の発達段階とは、乳幼児期から成人期まで、子どもがどのように社会性を身につけていくのかを、いくつかの段階に分けて示したものです。それぞれの段階では、子どもが獲得する社会的な能力や課題が異なってきます。
主な社会性の発達段階と特徴
年代ごとにどのように社会性が発達していくのか紹介していきます。
1. 乳幼児期(0~2歳)
乳幼児期のキーワード
愛着形成:親や養育者との愛着関係が、社会性の土台となる
模倣:周囲の人の行動を真似することで、社会的なルールや習慣を学び始める
0歳児
安心できる環境のなかで信頼できる身近な人と関わり、愛情や信頼関係を構築していくことが大切な時期です。
0歳代ではこのようなことができるようになっていきます
- 親を目で追いかける
- あやすと笑って反応する
- または行動や喃語で何かしら反応をする
- 母親など特定の人に愛着形成がされていき、人見知りが始まる
たかいたかいやくすぐり遊び、いないないばあなど。こどもとふれあい遊びをたくさん取り入れていきましょう。
1歳児
身近な人と関わる心地よさを感じながら日常生活を楽しみ始める時期です。
1歳児はこのようなことができるようになっていきます。
- 自己主張が始まる
- 身近な人へ自ら関わろうとする
- 自分の思いを指差しやジェスチャー、言葉で伝えようとする
この時期はまねっこ遊びが上手になってきます。
おままごとをしたり、人形遊びを通してこどもが自分の気持ちを安心してたくさん表現できる環境作りを心がけて関わり、家族が安心できると思えるようにコミュニケーションをとっていくことが大切です。
2歳児
周囲のこどもへの興味関心が高まり、自発的に関わりにいこうとする様子が見られるようになります。
生活リズムも定着し始め、ルールの大切さがなんとなくわかってくる時期です。
2歳児はこのようなことができるようになっていきます。
- 自己主張が強くなってくる
- 「自分で」やりたい、認めてもらいたいの気持ちが強くなる
- 簡単な見通しの理解ができるようになる
悪魔の2歳児と言われる理由は社会性が適切に発達しているからですね。
簡単な見通しが理解できるようになってきているので「手を洗ったらおやつ」のような生活に関する指示理解も深まっていきます。
また、この頃は周囲のこどもへの興味関心が高まっているので「かして」「いいよ」など、自分の感情を表現できるようになってきます。
友だちと同じ空間で同じ遊びを楽しむことができるようになってきます。
この時期に「かして」「いいよ」「ありがとう」などの関わり遊びに必要な言葉を習得しているとこどもにとっても集団生活の中で成功体験が積める可能性が高くなりそうです。
2. 幼児期(3~5歳)
幼児期のキーワード
友達との関わり:同年代の子どもと遊ぶことで、協調性やコミュニケーション能力を育む
ルール理解:簡単なルールを守れるようになり、集団生活に適応し始める
3歳児
自我が成長し始める時期です。自分と他人の感情の違いが理解できるようになってきます。
3歳児はこんなことができるようになってきます。
- 友だちとの関わりが増える
- 「ぼく」「わたし」などの一人称が生まれる
- 自分のフルネームを意識し始める
- 簡単なルールのある遊びを身近な大人と楽しむ
順番を守れない、おもちゃを独り占めをしてしまうというような行動の問題があるこどもは社会性がまだ発展途上の可能性があります。
社会性の発達段階の観点で見るとまずは「身近な大人と簡単なルールをのある遊びを楽しむ」ことからスタートしていきます。
いきなり同年代の友だちの中で練習をするのではなく、慣れ親しんだ保護者や支援者と練習をすることからスタートすることがオススメです。
4歳児
4歳頃になると自分の欲求を周囲の状況の間で折り合いをつけられるようになってきます。
例えば「本当は滑り台やりたいけど仲良しの〇〇くんがおにごっこやるから一緒におにごっこやる」のようなイメージです。
4歳児はこのようなことができるようになってきます。
- 友だちと一緒にあそぶ
- 自分の気持ちをコントロールできるようになってくる
- 身近な人の気持ちがわかり、自分の気持ちに折り合いをつける
- 集団生活の中のルールを守る意識が芽生え始める
小さな社会の中でルールを守って遊べるようになっていきます。
「砂場では一人ひとつスコップを使う」
「順番にバケツを使う」
「蛇口はみんなのもの」
「もっとやりたい」「やめて」のように言葉で自他の行動を調整できるようになり始めるのもこれくらいの時期からです。
5歳児
5歳児になると友だちとの世界を作り始めていきます。友だちと大きな目標を立てて共有し、その中で自分の役割を考えられるようになっていきます。
さらに年下のこどもや相手を想う力が育ち、教えてあげたり相手を導くために自分の行動をコントロールできるようになってきます。
5歳になるとこのようなことができるようになります
- お互いを認め合う
- 自己主張がぶつかり合うが自分たちで解決しようとする
- 仲間の一人として自覚する
- 達成感や有能感をもてるようになる
- 危険なものや場所を理解し遊具や道具を正しく使えるようになる
- ルールのある遊びに参加する
- 公共のマナーや交通ルールを守れるようになる
- 自分の考えを相手にわかるように伝える
- その場に合った言動ができるようになる
4歳児から5歳児になるとレベルがグッと上がる印象です。
児童発達支援の現場でも年長さんになってから集団の中で過ごすのがしんどくなり始めるお子さんは少なくないです。
周囲と比較し、スキル差を感じてしまうとどうしてもできないことばかりに目が向いてしまいます。
できないことをモグラ叩きのように課題解決をするのではなく、社会性の発達段階に目を向けて冷静に一旦立ち止まり一つ前の段階に戻ることも視野に入れて関わり方を考えることが重要です。
3. 小学校低学年(6~8歳)
年中さんから年長さんにレベルアップしたときにも一気に難しくなる印象ですが、小学生になるとさらにレベルアップしている感じがあります。
幼児期と比較すると求められるスキルがより抽象度が高くなるため、学校生活では多面的・多角的な力が必要になることが推測できます。
集団生活への適応:学校生活を通して、集団の中で自分の役割を果たすことを学ぶ
友達との協力:遊びや学習を通して、友達と協力して目標を達成することを経験
この時期のこどもは教師や保護者などが大人が決めることが正しいことであり、それに従うことが正しいと判断をします。
クラスのなかで小さいなトラブルがあったときに「先生に言うからね」と友だちに警告したり、実際に先生に報告をするという場面があると思います。
これは社会性の発達段階の観点で考えると適切な成長をしている証拠になります。
「すぐに先生に報告しにいってしまうのでいじめられないか心配です」というようなお悩みを相談されることがありますが、むしろ正常ですということをお話しすることがあります。
まだまだ自己中心的な考え方が残っているが、人と関わる中で相手の考え方や気持ちに気づけるようになってきます。
4. 小学校高学年(9~11歳)
社会性の拡大:家族や学校以外の人と関わることで、社会の広がりを実感する
規範意識の形成:社会のルールや規範を理解し、守ろうとする意識が芽生える
損得が道徳的な判断になり、「良い子」と評価されることに価値を見出していきます。さらには自律的な態度が発達していき自分の行動を自分の判断で決定していくことを通して責任感が強くっていきます。
中学年頃は人の考え方や感じ方は自分と同じと思い込みがちになるが、自他を客観視できるようになり相手の置かれている状況を自分に置き換えてイメージできるようになります。
活動範囲が広がり始め大きな集団や社会の中で物事を考えられるようになります。
地域の野球チームに所属をして自分が試合に出られなかったとしても〇〇が出たほうが勝てるとか合理的に思考できるようになっていきます。
自他の言動に対して結果と動機の双方の観点を考慮できるようになるのもこの時期です。
5. 青年期(12~18歳)
自己アイデンティティの確立:自分自身を理解し、社会の中でどのように生きていくのかを考える
社会貢献意識の芽生え:社会の一員としての責任感や貢献意識を持ち始める
中学生になると自我に目覚め、自分の判断や意思で生きていこうとしたり、人間としての生き方について関心が高まってきます。
自分はこれがいいと思うが世間一般は違った考えを持っている人が多いというようなことを認識し、社会のルールを自分が積み重ねてきた価値観を捉え直すことができるようになるのもこれくらいの時期からです。
高校生になると自ら考えて主体的に判断し、行動ができるようになります。一人の人間としての存在の仕方などに関心を持ち始めます。
幅広く物事を考えられるようになり結果重視で考えると、プロセス重視で考えるとのようにどちらかの側面からも考えられるようになっていきます。
日本国民として自覚して働くことを意識したりさまざまな価値と照らし合わせながら多様な視点で考えることができるようになっていきます。
一般的に各年代でできるようになることを理解できましたね。
我が子の現在地を見た時にもしかしたら「うちの子は社会性が発達していないのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。
でも大丈夫です。
ここからは社会性を育むためにできることを紹介していきます。
社会性を育むために大人ができること
社会性を育むポイント5選
- 愛情と安心感を与える
- コミュニケーションをたくさんとる
- 友だちと遊ぶ機会をつくる
- 社会のルールを教える
- 大人が規範になる
5つのポイントを実践することで、子どもの社会性の発達を促し、基礎集団の中で自分らしく楽しく生きていく力を育むことができるようになっていきます。
① 愛情と安心感を与える
✅愛情表現を豊かに
✅いつもそばにいる安心感
✅子ども自身の気持ちを大切にする
子どもが社会性を育むためには、まずはコミュニケーションの土台となる愛情と安心感を与えることが大切です。
抱きしめたり、優しく話しかけたり、愛情を言葉や態度で表現しましょう。
また、子どもが困ったときや不安なときは、いつでもそばにいて支えてあげることが大切です。さらに、子ども自身の気持ちを否定せず、受け止めることで、自己肯定感を高め、他者との関わりを築きやすくなります。
もちろん年代によって愛情の伝え方は変わると思うので工夫が必要です。
② コミュニケーションをたくさん取る
✅よく話を聞いて共感する
✅子どもと目線を合わせて話す
✅質問を投げかけ、考えを促す
子どもとたくさんコミュニケーションを取ることは、社会性を育む上で非常に重要です。子どもが話したいことをよく聞き、共感を示すことで、子どもは自分の気持ちを理解してもらえていると感じ、安心感を得ることができます。
また、子どもと目線を合わせて話すと、親密な関係を築くことができ、コミュニケーションが円滑になります。
子どもに質問を投げかけることで、考えをまとめる力や、自分の意見を伝える力を養うことができます。
時期によっては子どもから「なんで?」の質問が無限に続くことがあります。
この時に質問に対する回答をしてもいいのですが、個人的にオススメなのは「なんでだと思う?」と逆質問をすることです。
逆質問をすることで子ども自身が自分なりの回答を考えたり調べたりすることがあります。
そのプロセスを全力で褒め、もし最終的に着地が違ったとしても正しい回答になるように導いてあげましょう。
③ 友だちと遊ぶ機会を作る
✅公園や児童館で遊ぶ
✅習い事やイベントに参加する
✅友達と遊ぶルールを教える
子ども同士で遊ぶことは、社会性を育むための絶好の機会です。公園や児童館で遊んだり、習い事やイベントに参加したりすることで、子どもは自然と友達と関わる機会が増えます。
可能な限り社会に出ていきましょう。
④ 社会のルールを教える
✅挨拶や感謝の気持ちを伝える
✅人の話を聞く
✅順番を守る
子どもが社会で生きていくためには、社会のルールを守る必要があります。挨拶や感謝の気持ちを伝えること、人の話を聞くこと、順番を守るなど、基本的なルールを教えましょう。これらのルールを守ることで、子どもは周囲の人との協調性を育むことができます。
いきなりその年代で求められることを練習しても難しい可能性があります。その時は焦らず一つ前の段階の項目に取り組めるようにするのも良いです。
⑤ 大人が模範となる
✅挨拶や礼儀を正しく行う
✅人に優しく接する
✅社会のルールを守る
子どもは大人を見て学んでいます。大人が挨拶や礼儀を正しく行い、人に優しく接することで、子どもは自然と社会性を学ぶことができます。また、大人が社会のルールを守っている姿を見せることも大切です。
こどもはよく見て真似をするという社会実験の動画です。
良くも悪くもこどもは真似をして育っていきます。身近にいる保護者が規範になることは子どもにとって最高の教材になりますね。
こどもの社会性を育むためにやりたいことまとめ
最後に子どもの社会性を育んでいくためにできることを一気にまとめます。
- 乳幼児期からのスキンシップ、愛情表現、言葉かけによる安心感の形成
- 保育園・幼稚園での集団生活を通して、友達との関わり、協調性、コミュニケーション能力の育成
- 家庭での多様な価値観への理解と尊重
- 家庭でルールと規律を明確に伝え、一貫性のある関わり
- 自ら考え、行動する主体性や責任感を育む
- 積極的にコミュニケーションを取る機会の提供
- 相手の気持ちに共感し、尊重する態度を育む
- 自分の気持ちを言葉で表現する練習
- 傾聴力と共感力を育む
- 子どもたちの個性を尊重し、長所を褒める
- 失敗を恐れず、挑戦することを促す
- 達成感を味わえる経験を提供
整理してみたもののめちゃくちゃ多くなってしまいました^^;
上記のようなことを身近な保護者が率先して背中で見せていくことが社会性を育む上で大切になっていきます。
そして可能な限り社会に出て、同年代の友だちとのコミュニケーションを取れる機会を担保していきましょう。
参考情報
・子どもの社会性をはぐくむために いつからどんなサポートをすればよい?|学研教室
・子どもが社会性を身につけるべき理由|親が意識したいポイントも解説 | 受験のことならお受験ナビ - ハッピークローバー
・文部科学省「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」
・宮城県総合教育センター