「いつになったら我が子はしゃべるんだろうか」
「しゃべれない我が子に対してできる関わりはなんだろうか」
「なんとなくおはなしできるようになるまでの見通しを知りたい」
「言葉での意思疎通が難しくどのように関わったらいいのかわからない」
というように”ことば”に関する悩みを持つ保護者は少なくないです。
一般的には一人で階段が登れるようになったり、クレヨンでお絵描きができるようになってくるのとほぼ同じくらいのタイミングで「パパ好き」「ママ行こう」のようにいわゆる2語文を話すようになってきます。
児童発達支援を利用している3割くらいのご家庭がコトバに関するお困りごとがあるような印象です。
個人差があるということは頭では理解していても、実際に我が子の言葉が遅いことを実感すると不安になると思います。
息子も4歳の誕生日を迎えた時にまだ意味のある発語がありませんでした。
この記事ではことばに関するお困りごとを持つ保護者に向けて
言葉の発達の目安と言葉が発達していく順序、発達過程ごとの関わり方などを紹介していきます。
3秒でわかる記事のダイジェスト
- 言葉の発達の目安がわかる
- 言葉の発達の順序がわかる
- 発達段階ごとの関わり方がわかる
言葉の発達の目安
ことばには年齢ごとで大まかな発達の目安というものがあります。
あくまで発達の目安なので個人差はありますが、我が子の現在地を把握するために参考にしてみてください。
実年齢と発達年齢にギャップがある場合は近隣の児童発達支援事業所や地域の窓口、かかりつけ医などに相談をしてみましょう。
言葉の発達の順序
ことばの発達の順序は3つの段階に分かれています。
- わかることがら
- わかることば
- いえることば
実際にこどもたちと接していて見えているのは【いえることば】の部分になります。
だから多くの大人たちがイメージをしている「おはなしする」「おはなしできる」といっているのは最上部にある【いえることば】のレパートリー量で評価をしていることが多いです。
こども自身が下の階層をきちんと理解していない状態で【いえることば】を増やそうと大人のことばを真似させてみたり、言い直しをさせると一時的に【いえることば】の総量が増えるかもしれません。
ただ、誰に言ってるかわからないような表現をしたり、アニメのセリフのような特定の単語を表出していて場面に合っていないということになりかねないです。
この記事では言語にも発達の順序があるということを知ってもらえると幸いです。
それぞれ紹介していきます。
わかることがら
遊びや興味を広げるの記事でも紹介した感覚特性ですが、
感覚統合の土台になる触覚、前庭感覚、固有受容感覚は基礎感覚として働いています。
子どもは多くの刺激を受け、好奇心から様々なことに興味を持ちます。
成長するにつれて自分から刺激を求めたり、新しいことに対して「やってみよう」と思って行動をします。
そして「できた」という達成感と成功体験を得て、さらに楽しくて刺激が得られる活動にチャレンジをしていくという循環で感覚統合が進んでいきます。
水を触って冷たいな
チョコレートが溶けちゃってベトベトするな
ペットボトル持つと重いな
ブランコで揺れるの楽しいな
というように感覚が統合されていくと【わかることがら】が増えていきます。
経験を通して【わかることがら】が増えると次の【わかることば】に移行していきます。
我が子がどんな感覚特性を持っているのかを深堀したい場合はこちらの記事をご覧ください。
ことばのビル
前述した3つの発達の順序ですが、さらに細分化された【ことばのビル】というものがあります。
【わかることがら】はこちらの画像の1〜3階部分に該当します。
まず1~2階は体の土台作りです。
規則正しい生活リズムをしたり、体の発達に合わせた運動を実践してきます。
運動の発達については今後記事を作成予定です。
3階はこころを育てます。
親子関係、感覚統合、他児と一緒に遊ぶなど人との関わりの中で育まれていきます。
楽しい食事、嬉しい遊び、ワクワクする体験自分を理解してもらえる喜び、誰かと一緒にいる安心感、大好きなお父さんやお母さんがいること、安全に過ごせる家庭など。
これらを通して社会性が発達していきます。
社会性の発達段階に応じたアプローチについても今後作成していきます。
【わかることがら】を増やすためにはたくさん体験をする。
お子さん本人が取り組みやすいことから安心安全にチャレンジすることが重要になってきます。
嫌いな感覚をトライしていたらやりたくなくなってしまいますからね。
【わかることがら】が増えると【わかることば】につながります。
わかることば
【わかることば】を育むのにあたって必要なことはことばのビルの4~7階に該当しています。
4階は身辺自立、細かい遊び、お手伝いなど、手を使って活動をしていきます。
手は突き出た大脳と言われています。手先を使うことで脳をたくさん刺激して言葉の発達を促していきます。
身辺自立やお手伝いにはこどもの成長のチャンスがゴロゴロしています。
無理のない範囲でこどもにお手伝いをお願いしていきましょう💡
5階部分では体験を通してわかることばを拡大していきます。
「おいしいね」「怖いね」「こうするとベトベトになるね」「お水冷たいね」「疲れたね」などその場その状況にあったことばをたくさん届けてあげます😊
【ことばを届ける】という感覚はとても重要で、見せて示すというようなイメージを持てると良いです^^
6階は”ことばでわかりあう”です。
「パズル完成してうれしいね」「ここまで組み立てるの難しいね」「このタイヤ重いね」のように言葉を介して状況を共有してわかりあうシチュエーションを作っていきます。
日常生活の中で起きた出来事を実況したり、解説をするようなイメージです。
7階は”ことばを教える”段階になります。
例えばリンゴというものに対して「つるつるしてるね」「赤いね」「果物だね」のようなイメージでどんなものなのかを具体的に要素を伝えていきます。
そうすると「リンゴは赤くて果物でつるつるしているもの」という理解が深まっていきます。
こどもにとって何となくピンとくる、ビビッとくる感覚を増やしていきたいです。
「ピンとくる」「ビビットくる」感覚を増やしていくためには子どもに届ける工夫が必要です。
わかりやすいことばを選んでシンプルに伝えたり、子どもにちゃんと見えるように伝える。繰り返しになりますが、言って聞かせるよりも見せて示す意識が大切です。
いえることば
ことばのビルの最上階に来ると
「噛む」「飲み込む」「なめる」「吸う」「吹く」などたくさん口を動かして準備体操をしていきます。
口の準備体操をすることでいろんな発音ができるようになります。
土台ができてくると、【わかる】【まねる】【知る】【覚える】【話す】といった「知力やことば」が育ってきてコミュニケーションのキャッチボールができるようになっていきます。
やっとここで【いえることば】がどんどん広がってくるようになってきます。
大多数の大人が求めている【いえることば】を増やしていくためにはこれだけたくさんの工数を踏んでいくことになります。
【いえることば】に発展させるためには土台からビルを積み上げていく必要があるわけですね。
ことばに期待する役割
ことばを話せるようになって一番期待する役割は他者と分かり合えるようになることです。
とはいえ、他者と分かり合えるようになるという目的になるのでことばにこだわる必要は全くありません。
ことばだけにとらわれてしまうと、ビルの最上階をいきなり作ろうとするようなことになります。基礎がない建物なんてもろくてすぐに崩れそうで怖くて入りたくないですよね。
ことばのビルも同様です。
周りの大人がことばにこだわってしまい、適切に積み上げていない状態でことばを教えると、誰に対して伝えているかわからないようなコミュニケーションになったり、アニメのセリフのようなことを繰り返して話してしまうこともあります。
ことば以外に伝える手段はたくさんある
絵カード、ジェスチャー、アプリ、手話、手を引く、表情など。
伝えたことによる「言ってよかった」「ホッとした」「また伝えたいな」「自分のことを知ってほしい」「たくさん見てほしい」というような感覚をこどもたちに届けることが大切です。
ことばにこだわらず、コミュニケーションの土台を構築していくことが言語発達の遅れている子どもたちへ実践していきたいことです。
いかがでしたでしょうか。
身体の成長と同じようにことばにも発達の順序があります。ことばの発達の順序を理解することで発達に遅れのあるこどもとの関わるヒントになります。
ことばに遅れがあると非常に心配になってしまう気持ちはわかります。ただ、身近な大人が全力疾走をしすぎることで親子ともども体力切れしてしまいます。
それぞれが無理のない範囲でこどもの現在地に合った関わり方を取り入れていきましょう。