令和6年4月から息子は特別支援学校の小学部1年生になりました。
障害児の保護者として、子どもの将来を考えた時に子どもにとって最適な学びの環境に身を置いてほしいものです。
子どもが年長さんの年齢になると、保護者の多くが進学先をどうするかを悩み始めます。
児童発達支援の現場でもしばしば保護者からこのような声をいただきます。
- 我が子にとってベストな学びの場がわからない
- たくさん考えて今のクラスに落ち着いたけど、学校に行きたがらない
- 勉強についていけなくなってきた
- クラスの友達とうまくいかない
- 個別支援学級に行ったら就職できなくなるんじゃないかと心配
- 個別支援学級に行くと勉強の進みが遅れてしまうのではないか
- 一斉指示を聞いて行動するのが苦手だけど一般級でやっていけるんだろうか
進学先がどのような対応をするかどうかは先生の個人差があるので絶対的なことは言えませんが、
実はそれぞれの学級種の支援形態や行われる支援内容をある程度理解できていれば不安材料を限りなく減らすことができます。
なぜなら文部科学省でそれぞれの学級種でどのような支援がなされていくのかが決まっているからです。
本題に進む前に簡単に自己紹介をさせてください。
私は児童発達支援事業所と放課後等デイサービスで働いて10年が経ちました。これまで500人以上のこどもたちと関わり、さまざまな支援を届けてきました。
さらに息子は最重度知的障害・自閉スペクトラム症・身体障害(自立歩行困難)があります。
そんな息子は2024年4月から特別支援学校に就学します。
支援者でありながら障害のある子どもの保護者としての観点で発達に関連する情報を提供しております。
この記事5秒ハイライト
・学級種ごとの特徴が一覧できる
・学級種の特徴を理解できる
・息子の例(特別支援学校の内容)を参考にできる
・我が子にとって最適な学びの場を考え直すきっかけになる
・特別な支援を受けることはオワコンではないことがわかる
結論からいうと
子どもにとって最適な支援を受けるために保護者がちゃんと勉強をしてから進路を選択しましょう。
ですね。
前提として、今回紹介するお話はもうすでに通常学級に通っていて今後も転級を考えていない人にとってはあまりためになるお話ではないため別の記事に飛びましょう!
ちなみにこちらの記事がアクセスが多くてオススメです。
特別支援教育とは
特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。(引用:文科省)
特別支援学校や特別支援学級で支援を受ける場合は【個別の教育支援計画】や【個別の指導計画】があります。
もちろん通常学級在籍であっても支援を必要とするお子さんの場合は作成されることがあります。
個別の教育支援計画とは
個別の教育支援計画は、障害のある児童生徒の一人ひとりのニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応するための計画です。この計画は、長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを目的としています。(一部引用:文科省)
具体的には、個別の教育支援計画は以下の点を含んでいます
- プロフィールシート: 児童生徒の基本情報や特性、障害の状況などを記載したシートです。これにより、教育的ニーズを正確に把握できます。
- 支援シート: 児童生徒の支援内容や目標、具体的な支援方法を記載したシートです。教育、心理、医療、福祉、労働、保護者などの関係機関・関係者が連携協力して支援するためのツールです。
- 作成・活用プロセス: 教育的支援は教育だけでなく、福祉、医療、労働などの様々な側面からの取組が必要です。関係機関や部局との密接な連携協力を確保し、児童生徒の生涯にわたって適切な支援を行います。
個別の教育支援計画は、特別支援学級などで障害のある子どもに対して作成されます。
この計画を活用することで教育的支援が一体となり、的確に行われることが重要です。
個別の指導計画とは
個別の指導計画は、児童・生徒の学習意欲と学習成果を向上させるために作成される計画です。具体的な指導内容としては、以下の点が含まれます:
- 学習の進度とペースの調整: 児童・生徒の学習スピードや理解度に合わせて、適切な進度で指導を行います。
- 学習方法の工夫: 個々の特性に合わせて、効果的な学習方法を選定します。
- 個別の補習や補助教材の提供: 学習の際に必要なサポートを提供します。
個別の指導計画は子どもが主体的に学び成果を上げることを目指して作成されます。
(引用:https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/14176.pdf)
表にまとめるとこのようになります。
概要 | 作成者 | 目的 | 影響範囲 |
---|---|---|---|
個別の教育支援計画 | 教育委員会や教育機関 | 障害のある児童生徒の個別の特性やニーズに基づいて、教育目標や支援内容、評価方法などを具体的に記載する計画 | 幼児期から学校卒業後までの一貫した支援 |
個別の指導計画 | 学校内の教員や専門職(教師、心理士、医師など) | 児童生徒の特性に合わせた指導の方法や内容を明確化する計画 | 学期ごとまたは年間の具体的な指導の目標や内容を盛り込んだもの |
横浜市で特別な支援を受けるためには必ず【特別支援教育総合センター】で相談をする必要があります。
相談をした結果、その子にとって特別な支援が必要と判断をされたときに特別支援教育を受けることができます。
流れの図を貼る
横浜市の場合はこの流れに沿って進めていきます。息子の場合は最初から特別支援学校を視野に入れていましたが、学区の小学校長に連絡をしています。
校長との面談を経て特総センターにおける相談に進むかどうかの判断をしてくださいます。
ちなみに特総センターの就学相談には申し込みの締め切りがあります。
特別支援学校に進学予定の場合は6月末
個別支援学級や通級指導教室の場合は7月末
過去就学相談を受ける必要があるということを知らずに年明けまで過ごしてしまい特別な支援を希望しても受け入れが難しいというケースがありましたので特別な支援を受ける可能性を検討している場合は忘れずに申し込みをしましょう。
通われている児童発達支援事業所のスタッフも地域の特別な支援を受けるまでのフローを知らないことがあります。必ずご自身で自治体のHPなどを確認して情報収集に努めましょう。
冒頭でもお伝えしましたが、今回紹介するお話はもうすでに通常学級に通っていて今後も転級を考えていない人にとってはあまりためになるお話ではないため別の記事に飛びましょう!
ちなみにこちらの感覚特性の記事オススメです。
子どもにとって最適な進学先を検討するためにはそれぞれの学級種の特徴を理解する必要があります。
それぞれの学級種の紹介
いざ、特別な支援を受けることを視野に入れたとしても種類は様々です。
さらに学級種ごとに受けられる配慮の濃度(私が勝手に解釈している印象)が変わります。
※冒頭にも述べたようにもちろん学校単位や担任単位で変わります。
子どもにとって最適な学びの環境を整えるためにはそれぞれの学級種の特徴を理解しておく必要があります。
通常学級
一般的な小学校や中学校のクラスで行われる通常の教育プログラムです。一般的な子どもたちが通うクラスで、基本的な教科を学びます。
通常学級は、多様な生徒が集まり、異なる能力や背景を持つ子どもたちが共に学ぶ場所です。
メリット
✅多様性と交流
✅一般的な学習環境
✅個別のサポート
▼多様性と交流
通常学級では、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒同士が交流し、異なる視点から学び合います。
▼一般的な学習環境
一般的な学級で学ぶことで、社会的なスキルや共感力を養う機会があります。
▼個別のサポート
特定のニーズを持つ子どもには、加配教員や特別支援教育支援員がサポートを提供します。
▼呼び方
普通級、一般級など
▼標準人数
40名(小1のみ35名)
▼授業進度
カリキュラムに併せて進行
▼その他
個別の指導が必要な場合は通級指導教室を利用可能
交流級
特別支援学級に在籍しながら、通常の学級で一部の時間を過ごすことができる制度です。特別支援学級で学ぶ一方で、ホームルームや給食の時間など、通常級での活動も行います。
特別活動だけでなく、得意な科目や音楽、体育などの授業も、相談の上で交流級で受けることができます。
メリット
✅柔軟な学習環境
✅社会的な交流ができる
▼柔軟な学習環境
特別支援学級と通常級の両方で学ぶことで、多様な経験を積むことができます。
▼社会的な交流
通常級での活動を通じて、他の生徒との交流や社会的なスキルを養う機会があります。
交流級は子どもの特性やニーズに合わせて選択されます。
例えば得意な体育はみんなと一緒だけど、周囲の音が気になって集中できない科目とかは個別支援学級の教室で受けるなど柔軟に学習環境を提供されることが多いです。
どの環境を選択すべきかは、子どもの特性やニーズ、学習スタイルに合わせて検討していきましょう。将来を見据えながら、安心安全で納得できる環境を選ぶことが大切です。
通級指導教室
通常学級に在籍しながら、一部の授業を別の教室で受ける制度です。
学習や生活で困難を感じている子どもに対して、特性に配慮した指導を提供します。
通級指導教室は、特定の科目やスキルに焦点を当てたサポートを提供する場所です。
横浜市の場合はすべての学校に通級があるわけではないので、子どもにとって必要な学びを提供している学校に移動する必要があります。
メリット
✅専門的なサポート
✅柔軟な学習環境
▼専門的なサポート
少人数で学習できるため、特性に合わせた指導が受けられます。
▼柔軟な学習環境
通常学級とのバランスを取りながら、個別のニーズに応じた学習ができます。
特別支援学級
心や身体に障害を持つ子どもが将来自立できるような教育に重点を置いた学級です。
専門的な知識と経験を持つ教師が指導します。
特別支援学級は、個別の指導計画を作成し、子どもの成長をサポートします。
メリット
✅個別のサポート
✅自立をサポート
▼個別のサポート
少人数制で、子どもの特性に合わせた指導が受けられます。
▼自立をサポート
自立を目指すプログラムが提供され、生活スキルや社会的なスキルを身につけることができます。
▼呼び方
支援級、なかよし学級など
▼標準人数
8名
▼授業進度
「個別の指導計画」に基づいた支援、指導を受ける
▼その他
適応状況や集団活動の必要性に応じて、通常級に移動して活動する交流級を利用可能
特別支援学校
心や身体に障害を持つ子どもが通う学校です。
専門的な知識と経験を持つ教師が指導します。
特別支援学校は、個々のニーズに合わせた教育プログラムを提供します。
学習障害、知的障害、身体障害、視覚障害、聴覚障害など、さまざまな障害を持つ子どもたちが学ぶ場所です。
メリット
✅専門的なサポート
✅自立をサポート
✅個別の指導計画
▼専門的なサポート
少人数制で、子どもの特性に合わせた指導が受けられます。専門的な知識を持つ教員が、個別のニーズに応じた教育プログラムを提供します。
▼自立をサポート
自立を目指すプログラムが提供され、生活スキルや社会的なスキルを身につけることができます。
▼個別の指導計画
子ども一人ひとりに合わせた個別の指導計画が作成され、適切なサポートが提供されます。
これらの選択肢は、子どもの特性やニーズに合わせて検討し、相談しながら柔軟に対応することが大切です。
それぞれの特徴を表にするとこのようになります。
正式名称 | 一般的な呼ばれ方 | 人数 | 個別の指導計画の有無 | 授業速度 | 学びの特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|---|---|
通常学級 | 通常級、一般級、普通級 | 40名(小1のみ35名) | なし | カリキュラムに併せて進行 | 通常の学級での学習 | 児童・生徒同士の交流が多い\幅広い学習機会 | 人数が多く、個別のサポートが限られることがある |
通級指導教室 | 通級 | 一部の授業を通常の学級とは別の通級指導教室で受ける | あり | 子ども一人ひとりの特性に合わせた授業 | 学習や生活の困難を解消 | 小規模なクラスでの学習\ 個別の指導が受けられる | 通常の学級との連携が必要 |
個別支援学級 | 支援級、なかよし学級 | 8名 | あり | 「特別の教育課程」を編成し、自立活動などの特別の指導 | 長期的な視点で一貫した支援 | 個別のニーズに合わせた指導\専門的な支援が受けられる | 人数が少ないため、交流が限られることがある |
特別支援学校 | 通称「特支」 | 6名程度(クラスにより異なる) | あり | 特別支援学級に在籍している | 専門的な支援を提供 | 専門的な指導が受けられる\生活技能のトレーニング | 一般の学級との交流が限られることがある |
特別支援学校の一日例(息子の場合)
2024年4月から息子は横浜市内の特別支援学校に通っています。
息子は持病の関係で起床してから家を出発するまでに呼吸器を使って心拍を落ち着かせる必要がありますのでやや早起きですが、1日の流れを紹介します。
起床から帰宅までの1日の流れ
6:45 起床
7:00 朝食
7:30 呼吸器装着
8:55 家出発
9:05 通学バス停留所到着
9:10 通学バス出発
〜学校と放デイで過ごす〜
18:00 放デイから送ってもらい帰宅
学校と放デイで過ごす
▼特別支援学校の時間割例
何となく似ている支援学校さんの時間割がありました。
前述した表にも記載があるよう横浜市の場合は特別支援学校は最大1クラス6名です。
今年度1年生は5人クラスでした。
しかも息子の学校は教室内に4人先生が居てくださるので手厚いサポートを受けられます。
さらに個人的に非常に嬉しいのは息子が通っている特別支援学校は子どもの好きにフォーカスしてくださっている印象です。
タンバリンでみんなに開始終了を教える係
ひめくりカレンダーを破る係など
ちなみに息子は手遊び歌で先陣切って踊る係です。笑
私のx(@sukeryoiku)で発信している自分らしく楽しく生きていくというテーマにピッタリの特別支援学校はお世辞抜きで最高です。
▼放デイ
職業柄放デイの選び方はめちゃくちゃ気をつけました。
SNSを見ると説明と実態がかけ離れている事業所があるという噂を散見します。噂だけや口コミだけで外側から事業所の良し悪しを判断するのは難しいので実際に利用している保護者からの評価シートというものを参考にすることをオススメします。
事業者はこの評価シートを開示することが必須なので基本的には開示をしていますが、
開示をしていないということはそういったコンプライアンスの情報キャッチができていないという風にも捉えることができるので大前提として自己評価シートの有無でもスクリーニングをすることができます。
こちらの記事で放デイの選び方について解説をしているのでご覧いただけましたら幸いです。
また、放デイランキングという記事もありますので併せてご覧ください!
ちなみに我が家が選択した放デイは
・送迎がある
・自宅から近い
・息子が楽しめそうな活動(音楽や体を動かす遊び)を実施している
という点を重要視しました。
持病の兼ね合いで体力面が心配なので、週一スタートですがいずれ体力がついてきたら週5で利用する旨をお伝えしています💡
無理せず息子のペースで社会復帰ができたらと思っています。
特別支援学校はオワコンではない
むしろ最先端の教育を受けられると言っても過言ではないと思います。
校長先生との面談で一番最初に聞いてきたことが「お子さんの好きなことは何ですか?」「得意なことは何ですか?」です。
iPadのことを伝えると「授業する時はiPad使って楽しくやりましょうね」と笑顔で即答してくださったことをものすごく印象的です。
まとめ
ここまででたくさんの情報の通知をしてきました。
学級種によって大人の人数やサポートの濃淡などがわかってきました。どの進路を選択しても間違いではありません。
出会った仲間とたくさんコミュニケーションをとり、子どもにとって最適な選択肢だったといえるような環境作りを先生と保護者で作り上げていきましょう!
紹介した内容をもとに最終的に意思決定をするのは保護者かもしれませんが、実際に通学するのは子ども本人です。
保護者の考えが先行してしまい、子どもの声を聞き逃すことがないように注意してくださいね。
今回の記事で子どもにとって最適な学校環境が理解できたと思います。
一日の中で一番長く過ごすのが学校ですが、自宅と同じくらいの時間を過ごすのが放課後等デイサービスでもあります。
放課後等デイサービスでも子どもが自分らしく楽しく生きていくために慎重に選択しましょう!
【放デイの選び方内部リンク】