いつもお疲れ様です。我が子の癇癪対応に迷ったり自信がなくてこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。
こどもによって癇癪の行動はさまざまです。
「こども自身の要求が叶わなかった」といったきっかけがわかりやすいものもあれば、「突然怒り出す」という要因を深掘りするのが難しいケースもあります。
総じて言えるのは誰にとっても辛い時間になってしまっているということです。
こども本人もですし、その近くにいる大人自身も。
癇癪を目の当たりにした時にこれまで私たちはさまざまな対応をしてきました。
これまでやってきた関わり方は本当に正しかったんだろうか。
気になりますよね。
今回の記事では癇癪の対応について紹介していきます。
この記事3秒ハイライト
💡癇癪がなぜ起こるのか仕組みを理解
💡癇癪の具体的な対応がわかる
癇癪はなぜ起こるのか
子どもの癇癪の発生要因は、大きく分けて以下の3つです。
- 生理的要因
- 心理的要因
- 環境的要因
①生理的な要因
生理的な要因とは空腹、疲労、不快感、痛みなどです。
子どもは、空腹や疲労、不快感、痛みなど、自分の感情や状況をうまく表現することができません。そのため、そのような状態になると、癇癪を起こすことがあります。
大人だってお腹空いてたらソワソワしますし、仕事で疲れている時にパートナーから無理難題を要求されたらイラっとします。
人間なら誰もが不快に感じます。
大人もこどもも一緒だということをまずは認識してください。
②心理的な要因
心理的な要因とは欲求不満、怒り、悲しみ、不安などです。
子どもは、自分の思い通りにならないことや、嫌なことがあると、欲求不満や怒り、悲しみ、不安などを感じます。そのような感情をうまくコントロールできないと、癇癪を起こすことがあります。
仕事でミスをしてしまったとき、チームメンバーに依頼したことが思うように伝わらなかったとき怒りや不安で感情のコントロールを一生懸命する場面は誰もが経験をしたことがあるはずです。
こどもも嫌なことがあったときに癇癪が起きてしまうのは当然といえます。
③環境的な要因
環境的な要因とは親や周囲の大人の対応、生活リズムの乱れ、環境の変化などです。
徹夜で仕事をしたり、新しい職場で心機一転頑張るときなどで生活リズムが普段と異なると本来のパフォーマンスが発揮しにくいです。
大人の場合は言葉で自分の状況を伝えたり、適切なタイミングで休憩を挟んだりします。
こどもの場合はうまく要求や要望を伝えられずそれが行動として表現されるのがいわゆる癇癪です。
こどもの癇癪は、乳児期から始まり、3歳から4歳頃にピークを迎え、5歳頃から徐々に減少していくといわれています。
発達障害のあるこどもは、癇癪を起こす頻度や程度が、一般的なこどもよりも高くなる傾向があるかもしれません。
「子どもの癇癪が心配なときは、専門家に相談することも検討しましょう。」
と言われたり、いろんな記事を見てもこのように記載されていることが多いです。
専門家に相談といっても
実際に対応するのはこどもの一番身近にいる私たち保護者です。
私たち保護者が関わり方を理解しておくことで未然に防げたり、お互いにとって最小限の体力消耗で済みます。
次の章では具体的な癇癪の対応について紹介していきます。
癇癪対応の大前提
そもそも癇癪が起きにくくするように事前にできる工夫に全力を注ぐことが定石です。
とはいえ、十二分に周囲の環境を整えていたとしても突然きっかけがわからない癇癪の行動が起こる可能性があります。
絶対に起こさないというのは不可能に等しいので、限りなく癇癪が起きる確率を低めると思って読み進めてください。
事前にできる工夫①見通しを伝えておく
事前にできる工夫②好き嫌い/得意苦手を把握しておく
事前にできる工夫③生活リズムを整える
事前にできる工夫④年間を通してコンディションの波を把握する
①見通しを伝えておく
癇癪の要因の一つとして、【思い通りにならなかった】【活動の切り替えがうまくできなかった】ということが多いです。
要求したのにGETできなかった
もっと遊びたかった
〇〇に行きたかった
こどもからしたら上記のような状況です。
大人の都合で突然自分のやりたいことを断ち切られるストレスは想像したらわかるのではないでしょうか。
明日から海外転勤ですと言われた時に莫大なストレスがかかるでしょう。
1年後に海外転勤になる可能性があるから準備をしておいてと言われたら嫌だなと思いつつもちょっとずつ自分の中で消化して準備する気持ちになるはずです。
◯時に学校に行かなければならない
ということは◯時に家を出発しなければならない
ということは◯時に準備を完了しなければならない
ということは◯時に・・・
こどもは合理的に判断ができなかったり、優先順位を立てて行動を考えるスキルを未獲得ですのでやりたいことをやります。
思い通りに行かないとストレスに感じてしまうのはお互い様です。
お互いにとってできるだけ負荷の少ない方法で準備を進めたいので見通しを伝えることはかなり重要な関わりになります。
②好き嫌い/得意苦手を把握しておく
好きなこと得意なことを制限された時や嫌いなことや苦手なことをやらされたときに癇癪が起こることがあります。
身支度や学習など苦手なことにチャレンジせざるを得ない状況になることは理解しています。
ただ、最初から最後まで全てをこどもが一人でやり切る必要があるかということを改めて考えてみましょう。
現時点で癇癪という行動の問題が起きているということはこども本人にとって難しいorまだ未獲得な行動と言えます。
必要な時に必要なだけサポートをすることを意識するともしかしたら癇癪が起こる確率を低めることができるようになるかもしれません。
③生活リズムを整える
こどももその年代の社会の中で生きています。
毎朝決まった時間に起きて園や学校に行きます。
こどもの生活の中でルーティーンを作ることができたらイレギュラーなことが起こらずに済むかもしれません。
朝起きたらトイレに行ってそのまま着替える
着替えたら顔を洗って朝食をとる
のように流れが定まってしまうと切り替えるという行為そのものがなくなることもあります。
ただ、注意点としてルーティーンが入りすぎることによる切り替えの難しさのリスクは発生する可能性のあるこどももいるので、慎重に導入を検討していきましょう。
④コンディションの波を把握する
園や学校には運動会、遠足、発表会などの年間行事があります。
普段とは異なる活動や練習をする頻度が高まるとこどもたちは疲れてしまうでしょう。疲れている時に機嫌が悪くなったりこれまで許せていたことが許せなくなってしまうこともあります。
毎年〇〇の時期はコンディションの波が荒れやすいというようなことを把握しておくことで、無理をさせずに普段よりも少し早い段階で休息を取ったり、難易度を調整することで癇癪の発生頻度を低めることができるようになるかもしれません。
安全確保が最優先
前の項目では事前にできる工夫を紹介してきました。しかし、できるだけ癇癪が起こらないようにたくさん工夫をしていても癇癪を完全に防ぐことは難しいです。
万が一癇癪が起きたときはは安全確保をすることが最優先課題であることを理解しておいてください。
こども自身の安全を確保
まずはこども自身の安全確保をします。
興奮状態にあるときに声をかけてもこどもには届きません。
癇癪が起きているときは身の回りのものを投げたり破壊する、自傷行動をするなどのケガをしてしまうリスクがある場合は周囲のものを排除したりマットや布団などを近くに置いて万が一に備えます。
先日もこのような事件が起きてしまいました。自傷行動が激しくなると生命の危機にも関わります。
ですので、必ずこども自身の身の回りの安全確保が大事です。
親の心理的な安全性を確保する
こどもの安全を確保できたら親自身の心理的安全性を確保しましょう。
癇癪行動に関わると親自身の体力も精神力も奪われていきます。先ほどもお伝えしたようにこどもが興奮状態にある時はどんな関わりをしても届きません。
ですので、必要以上に関わるのを避けましょう。
こどもの安全が確保できることを確認できた状態で一定の距離をとって見守り、
保護者の心を守りましょう。
「こどもが興奮状態で暴れ回っているのに親が離れるのは親として失格なのではないか」
と考えてしまう人も中にはいるかもしれません。
しかし、保護者が落ち着いて対応できることが最優先です。
保護者がパニックになったり、落ち着いた関わりができなくなることのほうがリスクがあります。
こどもと関わるときのスタンスでよく例えられるのは飛行機の緊急時の酸素マスクの装着順です。
JALの安全のしおりにも親が先でこどもが後の順番で記載されています。
※クリックするとJALの安全のしおりに飛びます。
保護者の役割はこどもを安全なところに連れて帰ることです。
無理せずに自分の心を大切にしていきましょう。
癇癪が起きたときの具体的な関わり方
前の項目では興奮状態のこどもに声をかけても届かないという話をしました。お互いの安全を確保した状態で一定の距離を保ち、落ち着くのを待ちます。
待っていて自力で落ち着くことができるのであればそれが理想ですし、将来的に自力でクールダウンができるようにスキル獲得を目指していくと良いでしょう。
年齢の小さいこどもの場合は大人が働きかけて落ち着きやすくすることもできます。
脳みその興奮状態を適切な位置である最適な覚醒レベル(=コンフォートゾーン)に持ってくるということを試みます。
※コンフォートゾーンとは
その人が慣れ親しんでいてストレスや不安を感じずに過ごせる、心理的な安全領域とされています。
では、どうやった興奮状態からコンフォートゾーンに移行させるかというお話をしていきます。
覚醒を低めるためにできること
コンフォートゾーンに移行させるためには覚醒を低くする(=興奮状態を低める)ことがポイントになってきます。
既知性
既知の反対は未知です。ということはすでに知ってることや経験したことがあるものを取り入れることで興奮状態を低める因子になっていくと考えられます。
こどもお気に入りのDVDや絵本をみることで落ち着くかもしれないですね。
一定、単調
単一で変化がないことをしていると無心になって興奮状態を低められると考えれます。
スクイーズをにぎにぎしたり、簡単なパズルをやったり、無心になってアイロンビーズとかをやってもいいかもしれません。
くりかえし
こどもが好きな感覚を繰り返すことで興奮状態を低めることができます。
揺れるのが好きなこどもの場合はハンモックに揺られたり
聴覚的な刺激がすきなのであれば、小豆を転がした音を聞くなど
感覚特性についてはこちらの記事を参照してください。
我が子がどのような感覚特性を持っているのかアセスメントがしたい場合はこちらの記事で感覚特性アセスメントシートの紹介をしていますので、興味がありましたら是非ご覧ください^^
コンフォートゾーンに入ったら
親子ともに安全の確保をして、一定の距離を保ちピークからある程度収束に向かいました。
年齢の小さいこどもの場合は興奮状態を低める関わりをしてコンフォートゾーンに入ったら以下に行動を移していきましょう。
- 大人は落ち着いたトーンで話をする
- 落ち着いてコミュニケーション取れていることを褒める
- 癇癪を起こしたことについては触れない
- むしろ全然関係ない話をする
- さらに普通にやり取りができるようになったら具体的な場面を振り返って適切な行動を伝える
「こどもが癇癪になったら」について紹介してきました。
癇癪を目の当たりにするともしかしたら焦って過剰に声をかけたり、こどもと積極的に関わりを持とうとしていまいます。
まず大事なのは親子ともに安全確保です。
そしてあなたの心の健康を維持していくことが大切です。
我が子を最優先にしたい気持ちはわかりますが、保護者自身の身を守りましょう。
保護者の心の健康が担保されていれば、いくらでも持ち直すことができます。